コレステロール値を下げたければ食事の時間に気をつけて!不規則な食事は肥満の原因

同じものを同じだけ食べていても、食事をする時間によって血中コレステロール値が変わることを知っていますか?この食事時間とコレステロール値の関係は、研究によって明らかになっています。毎日の食習慣は、健康維持に不可欠です。肥満を予防し、コレステロール値を正常に維持する正しい食べ方を紹介します。

1、食事と体内時計

1日24時間!でも体内時計は??

1日は24時間、それは地球の自転と太陽の動きに合わせた時間で、正確には約23時間56分4秒だそうです。地球と太陽の動きに合わせるように、私たち人間の身体にも「体内時計」というものが備わっています。体内時計には、脳の視床下部に存在する「中枢時計」と心臓や肺、筋肉などの末梢器官に存在する「末梢時計」があり、1日の生活リズムを正確に刻んでいます。

同調しているように思われる地球の自転による1日24時間のサイクルと、私たち人間の体内時計は少しだけずれています。人間の体内時計は、正確には約24時間10~11分だそうです。地球の自転は約23時間56分4秒なので、約15分ずれています。1日たった15分ですが、1週間にすると1時間45分のずれが生じます。

ズレがそのままだと1か月にすると7時間半ものズレです!2か月経つともう昼夜逆転状態になってしまいます。そうなってしまうと生活リズムもぐちゃぐちゃ。健康を維持するのも難しいでしょう。

体内時計のズレをリセットするには?

しかし、そのズレた体内時計と地球の自転に合わせた24時間のサイクルは、リセットできるのです。そのズレを毎日リセットすることで、体内時計を24時間のサイクルに合わせて私たちは健康的な毎日を送ることができます。

体内時計のズレをリセットする方法は、2つあります。まず1つ目は、朝日を浴びることです。朝に太陽の光を浴びることで、脳の視床下部に存在する中枢時計がリセットされます。朝目が覚めたら、まずはカーテンを開けて朝日を浴びましょう。部屋にあまり日が入らないという方は、ちょっと玄関先に出て、朝日を浴び、外の空気を吸うと朝の目覚めも良く、体内時計をリセットすることができます。

体内時計のズレをリセットする2つ目の方法は、朝食を食べることです。朝食を食べることで心臓や肺、筋肉などの末梢器官に存在する末梢時計をリセットすることができます。

朝の食事、時間と内容

朝の食事で末梢時計をリセットする、その効果を最大限に生かすコツは、糖質とたんぱく質を含んだバランスの良い食事を食べることです。糖質は、主にご飯やパン、野菜や果物にも含まれています。タンパク質は、肉や魚、卵、大豆製品などに含まれていますので、バランス良く毎日の朝食に取り入れましょう。糖質とたんぱく質を朝食で食べることで、体温が上がり、空腹感が少なく、脳の働きも良くなることが分かっています。

朝食の時間を一定にすることも、体内時計のリズムを整えるためにも大切です。朝食は、忙しい人でも1日の中で最も時間を固定しやすいでしょう。バランスの良い食事を一定の時間に食べることは、体内時計のリズムを整えて健康な毎日を送るための第一歩になるでしょう。

2、不規則な生活で内蔵時計が乱れてしまう

内蔵時計について

人間は、すべての細胞に24時間周期の時計を持っており、それが各臓器の時計を形成しています。脳の時計や内臓の時計は、太陽光に同調して1日24時間のリズムを刻みます。内蔵時計の同調する因子は他にもありますが、光が最も強い同調因子なのです。

不規則な生活で内臓時計がずれる

朝起きて日中活動し、夜に睡眠を取って休息するといった、太陽光に合わせた規則正しい生活を送り、規則正しく食事をしていると、内臓時計は太陽光に同調してズレをリセットするので24時間周期に整います。

しかし、現代社会では仕事などの関係で不規則な生活を余儀なくされる方も多く、不規則な生活を送っていると内臓時計がかなり乱れている可能性が考えられます。

3、食事の時間とコレステロール

不規則な食事で血中コレステロールが増加!

食事の時間が不規則だとコレステロールの代謝に異常が出て、血中コレステロール濃度を増加させてしまいます。不規則な食事は、肥満の原因となり、脂質の代謝に大きな影響を及ぼすことが明らかになっています。

あるラットを使った研究で、昼夜の区別なくダラダラ食べる不規則な摂食をさせたラットは、肝臓の体内時計と言われている概日時計に異常が生じ、血中コレステロールが上昇したそうです。

規則正しい食事時間で肥満予防!コレステロールを正常化!

一方、活動期の8時間(ラットは夜行性なので夜間の8時間)だけ摂食させる、規則正しい食生活をしたラットは、高脂肪食でも食事による肥満を起こすことがなかったそうです。

つまり、肥満や生活習慣病などの原因と考えられている高脂肪食を同じ量食べていても、食事の時間が規則正しければ摂取したエネルギーの消費が促進されて太らないのです。

脂肪分の多い肉類や乳製品を同じだけ食べていても、決まった時間に規則正しく食事をしていれば肥満を予防できるということは、好きなものを食べて満足感も得られるので、食べ物を制限するダイエット方法よりもリバウンドなくでき、肥満予防に効果的ですし、なんだかお得な感じがしますね。

さらに、決まった時間に食事をすることで、体内でコレステロールを作り出す働きをしている肝臓の時計遺伝子が正常化され、コレステロールを体外に排出する際に必要な胆汁酸の排泄が正常に行われることで、血中コレステロール値が正常化します。また、規則正しい食生活は、善玉であるHDLコレステロール値を増加させてくれる可能性もあるのです。

規則正しい夜型生活は??

不規則な食事をしていると、血中コレステロール値が上昇して生活習慣病を発病するリスクが高くなります。では、夜勤などで夜に活動して昼間に寝るといった、昼夜逆転した夜型の生活を送っている人はどうでしょうか。

夜型の生活をしていても、活動している夜間の決まった時間に食事をしていれば食事の時間は一定で、ある意味規則正しい生活をしていると言えます。しかし、人間は夜行性ではありませんので、すべての臓器が夜型の生活に同調して正常に働くわけではありません。コレステロールの合成や代謝に関わる重要な臓器である肝臓の時計は、夜食をすることで悪化し、代謝がうまく機能しなくなると考えられています。

これは、夜食症候群として既に問題化されており、夜型の生活を送っていると脂質代謝異常(悪玉であるLDLコレステロールの増加や善玉であるHDLコレステロールの低下)を起こしたり、心臓の冠動脈疾患や肥満などの病気が多いと言われているので注意が必要です。

4、食事の回数と時間

1日1回の食事は肥満の元

食事の時間が決まっているといっても、1日1食というのはいけません。1日1食は、肥満を招くと言われています。これは、1日1食に対応して、体がエネルギーを貯めようと働くからです。1日に食べる量が同じであれば、1度にまとめて食べるよりも食事の回数を多くして1回の量が少ない方が肥満を抑制し、コレステロール値の異常も招きにくいと言われています。

寝る直前に食べないで!

食べたものにもよりますが、私たち人間が食事をして、食べたものが消化・吸収を終えるまでに約4時間かかります。理想は、就寝時間の4時間前までに夕食を終えることです。寝る直前に食べると、消化不良を起こして胃もたれなどの不快症状が現れたり、摂取したブドウ糖が体内に溜め込まれて肥満の原因にもなります。

食べたものが完全に消化・吸収されてから眠ることで、睡眠の質が上がり疲れにくい体になります。でも忙しく働くビジネスパーソンには、それはなかなか難しいですよね。仕事がいつも夜遅くまでかかり、夕食が遅く、夕食と就寝時間の間があまりあかないという方は、思い切って食べないで寝るという選択もあります。

消化吸収の良い、味噌汁やスープ、そばを軽く食べるのも良いでしょう。その代わりに仕事の合間に、例えば夕方の5時から6時ごろに小腹がすいたら間食としておにぎりやゆで卵など栄養になるもので簡単に食べれるものを食べておくと、必要な栄養分も摂ることができます。夜寝る直前の夕食を軽く済ませることで、朝食はしっかり食べることができるでしょう。

胃での消化時間は、ごはんは2~3時間、肉は4~5時間、肉の脂はなんと7~8時間もかかるのです。寝る直前にこのように消化に時間がかかるもの、特に高脂肪食を食べてしまうと血中の悪玉コレステロール値を増加させてしまうことになります。そして、体内時計をリセットするのに大切な朝食が、前日寝る前に食べたものが消化不良で胃に残っていて胃が重くて食べられないといった悪循環を起こしてしまいます。

まとめ

人間に備わっている体内時計は、太陽の光や食事に同調してリズムを刻んでいます。体内時計を正常に働かせるには、まずは朝日を浴びることと朝食を食べることで体内時計のズレをリセットすることが大切です。不規則な生活をしていると、健康を維持するために大切な内蔵時計が乱れてしまいます。

そして、大切なのが食事の時間を規則正しくすることです。不規則な食事は、血中の悪玉コレステロールを増加させて肥満や病気の原因となることが分かっています。反対に食事を決まった時間に食べる規則正しい食生活をしていると、血中の悪玉コレステロールを正常化して善玉コレステロールを上げる可能性があると言われています。

健康を害すると言われている高脂肪食でも、決まった時間に食べることで高脂肪食による肥満を予防することができるのです。ただし、昼夜逆転した夜型の生活を続けることは、たとえ食事の時間が一定であったとしても血中の悪玉コレステロールを増加させて肥満を招くだけでなく、命にかかわるような病気を発症するリスクが高いので注意が必要です。

血中コレステロール値を正常に保ち、肥満や病気を予防するためには、人間の活動期である昼に食べ、夜間は食べない、昼夜のメリハリをきちんとつけた規則正しい食生活を送ることが大切なのです。

こちらの記事も参照して下さい。「コレステロールと食事は関係ない?看護師が教えるコレステロールと食事の関係」→http://minnanosiawase-recipe.com/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB-%E9%A3%9F%E4%BA%8B-%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%AA%E3%81%84/

参考文献「不規則な摂食タイミングが肝臓概日時計異常とコレステロール代謝異常を導く分子メカニズムの解析」https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/15/2/15_61/_pdf/-char/ja