コレステロールがあがるからと、卵は1日1個までに控えるなど食事を制限している方も多くいらっしゃいます。しかし、高コレステロールは食事とは関係ないと、厚生労働省なども発表しています。コレステロールと食事の関係性は、どのような理由から関係がないと言われるようになったのでしょうか。果たして全てにおいて関係ないと言えるのでしょうか。
1、血中コレステロールと食事は関係ない?
コレステロールは、心筋梗塞や脳梗塞などによる死亡率があがるとされ悪者扱いされています。しかし、実はコレステロールは人間が細胞を作るために必要不可欠な成分なので、低ければよいというわけではありません。コレステロールも人間が生命活動をしていくために、必要な成分であり、その大半の約9割が人間の体内の肝臓で作られているのです。
食事で摂取するコレステロールを制限すれば大丈夫と思われがちでしたが、実は関係ないと言われるようになりました。食事で摂取するコレステロールは、全体の1割程度とごく一部なのです。
コレステロールは、大半が体内で作られているので、コレステロール値を下げようと食事を制限してもあまり効果がないことが分かっています。コレステロールを多く含む鶏卵や魚卵などを多く食べ、食事によるコレステロールの摂取量があがった場合は、体内で作るコレステロールの量を減らすという、血中コレステロール値を調整する機能が人間には備わっています。実際に1日に多くの卵を食べている人でも、血中コレステロール値が正常の方もいるそうです。
コレステロールをたくさん摂取しても、その分代謝したり調整機能が正常であればコレステロール値は高くならないのです。このようなことから、食事で摂取するコレステロールの量と血中のコレステロール値は関係ないと言われているのです。
2、血中コレステロール値はなぜ高くなる?
では、なぜ血中コレステロール値が高くなるのでしょうか。それは、肝臓でコレステロールを作りやすい体質があるのです。遺伝的に生まれつきコレステロール値が高い家族性高コレステロール血症という病気があります。家族性高コレステロール血症の方は、心筋梗塞を発症して死亡するリスクがそうでない人に比べて10倍以上高いと言われています。
血中のコレステロール値が高くなる要因はさまざまありますが、遺伝的、体質的な要因も大きいのです。さらには、摂取したコレステロールが小腸で吸収される量、体内で利用される量、体外に排出される量のバランスが崩れることで、血中のコレステロール値に異常が現れます。
3、高コレステロール、どうすれば良い?
以上のことから、高コレステロールに対しては、卵などの高コレステロールの食品を制限してもあまり意味がなく、食事で摂取するコレステロールの量と血中のコレステロール値は関係ないということがわかります。かといって全く影響がないとも言い切れませんので、食べ過ぎはよくありません。
高コレステロール食品の代表~卵について
しかし、高コレステロールと言われる卵は、実は栄養的に優れた食品です。卵には、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素がすべて含まれています。良質なたんぱく質が豊富で、栄養価が高い食品なのです。健康な人なら1日に1個、コレステロールが気になる方でも2日に1個は食べると良いでしょう。
野菜などと組み合わせて食べることで、不足しがちな栄養素を補うことができます。卵のうち最もよく食べられている鶏卵はもちろんのこと、うずらの卵も栄養価は鶏卵と変わりありません。うずらの卵は1個当たりの量は少ないけれど同量の鶏卵と比較すると、鉄やビタミンAはうずらの卵の方がより多く含まれています。
高コレステロールがもたらす健康への影響
コレステロールといっても、LDLコレステロールと呼ばれる悪玉コレステロールとHDLコレステロールと呼ばれる善玉コレステロールの2つに分けられます。高コレステロールとは、一般的に悪玉であるLDLコレステロール値が高いことを指して言われています。以前は、高脂血症と呼ばれていましたが、現在は脂質異常症と呼ばれます。
脂質異常症とは、血中の中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が基準値より高いか、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が基準値より低い状態のことを言います。
特に悪玉であるLDLコレステロールが高いと血管内にプラークが沈着して、血管が狭くなる動脈硬化が進行して、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を発症するリスクが高くなってしまいます。
血中のLDLコレステロール値が高くなるのは、遺伝などによる体質によるものとも考えられますが、原因はそれだけではありません。病気のリスクを高くするものを体質だからと放っておくわけにはいけません。高コレステロール食品の摂取を控えるといった食事制限は、あまり効果を奏しないようですが、血中のLDLコレステロールを減らす作用がある食品があるので、その食品を積極的に食べるようにすることが血中LDLコレステロール値の上昇を押さえることができます。
血中のLDLコレステロールを減らす作用のある食品
青魚・まぐろ
青魚に多く含まれているDHAには、血液中の余分な中性脂肪やLDLコレステロールを減らし、善玉であるHDLコレステロールを増やす作用があります。さらに、青魚に含まれているEPAには血液をサラサラにして血栓を予防する作用があるので、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞を予防してくれます。LDLコレステロールが高い方には、積極的に食べてほしい食品です。
具体的には、さんまやぶり、あじ、イワシ、さばなどです。特にくろまぐろ(ほんまぐろ)には、全魚類の中で最も多くのDHAが含まれています。
DHAやEPAは、酸化すると効果が得られなくなるので、魚は鮮度の良いものを選び、その日のうちに調理して食べることが好ましいです。
オリーブオイル
オリーブオイルは、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを維持する働きのあるオレイン酸が多く含まれていて、適度に摂取すれば高脂血症や動脈硬化、心臓病の予防に効果があります。
ごま油
ごま油には、血中のコレステロールの量を減らす働きのあるリノール酸と悪玉コレステロールを減らすオレイン酸が豊富に含まれています。ごま油は、他の油に比べて酸化しにくいのが特徴です。
えごま油
しその変種えごまの種子から抽出した油です。αリノレン酸が豊富に含まれており、体内に入るとEPAやDHAに変化するため、血液をサラサラにして血栓を予防し、中性脂肪やLDLコレステロールを減らし、善玉であるHDLコレステロールを増やす作用があります。
※注意:油脂類はエネルギー量が多く、摂りすぎると肥満の原因になるので、普段使っている油をこれらの油に置き換えるなどして摂りすぎには注意して、適量を守りましょう。
食物繊維の多い食品
玄米や麦、雑穀、納豆、野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなど、食物繊維の多い食品を食べることで、血中のLDLコレステロール値を下げることができます。
動物性油脂の摂取は控えめにする
食事と血中のコレステロール値が関係ないといっても、それがすべての食品に当てはまるわけではありません。牛脂やラード(豚脂)などの動物性の油脂は、飽和脂肪酸を多く含んでおり、融点が高く、常温では固形またはクリーム状です。動物性油脂を摂りすぎると血中のコレステロール値を高めるので、摂取は控えめにしましょう。
まとめ
食事とコレステロール値は関係ないと言われるようになりました。コレステロールの大半は体内で作られているからです。体質的に肝臓で作られるコレステロールが多いためにコレステロール値が高いという方もいます。このような方は、食事で摂取するコレステロールの量と血中のコレステロール値はあまり関係がないといえます。
しかし、血中のLDLコレステロールを下げる作用のある食品があることから、食事と血中のコレステロール値は関係ないというと全てにおいて関係ないのではないかと誤解を招いてしまうのではないでしょうか。
青魚に含まれているDHAやオリーブオイル、ごま油、えごま油、玄米などの食物繊維の多い食品は、血中のLDLコレステロール値を低下させる作用があります。血中のLDLコレステロール値が高めの方は、これらの食品を意識的に摂るようにしましょう。そして、血中コレステロール値を高める動物性油脂は控えめにしましょう。
コレステロールの値が気になる方は、高コレステロール食品の摂取を制限する必要まではないといっても、LDLコレステロールを減らす働きのある食品を意識的に摂るなど食事に気を配ることが賢明ではないのでしょうか。
こちらの記事も参照してください。「健康に良い食べ物、おすすめの毎日食べたい7つの食材」→http://minnanosiawase-recipe.com/%E5%81%A5%E5%BA%B7-%E9%A3%9F%E3%81%B9%E7%89%A9-%E6%AF%8E%E6%97%A5-%E3%81%8A%E3%81%99%E3%81%99%E3%82%81/